FILE1 ミズアオイ Monochoria korsakowii Regel et Maack (Pontederiaceae ミズアオイ科) |
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図1 ミズアオイの群落(1996年9月23日) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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図3 同一花序の中でも、葯の青い雄しべが、右にあるもの(下の花)や左にあるもの(上の花)などさまざまである。(2008年9月21日) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
環境庁の植物版レッドデータブック(2000年)で絶滅危惧U類に位置づけられ、100年後の絶滅確率はほぼ100%と見られている1年生の水草(抽水植物)です。昔は、石川県内の各所に見られましたが、今ではすっかり減少してしまいました。しかし、最近の環境問題への関心の盛り上がりと共に気にかけてくれる人が増えて、方々で見つかったり、栽培されたりするようになっております。9月の開花期には、決まって地元の新聞で話題になっております。ここで紹介する金沢市湊地区や木場潟のミズアオイも新聞記事を頼りに見つけたものです。田圃の脇の用水路に何百株と群生していました(1996年)。しかし、水の流れが少なく、ヘドロが貯まって悪臭が立ちこめていました。1年草なので、種子ができる前に用水路の掃除をされますと大打撃を受けます。1999年・2001年には、見る影もなく衰えていました。 |
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ミズアオイの花については、奇妙なことがあります。図5ではっきり分かるように、右下方へ伸びた1本の雌しべと、葯(やく:花粉の入っている袋状の部分)が黄色い雄しべが5本と葯が青色の雄しべが1本見えます。この内、左下方へ伸びた葯が青色の雄しべでは、花糸(葯を支える柄の部分)に角のような突起が付いています。これが何を意味するものかは分かりませんが、どの花も同じ構造です。近縁のコナギにも見られます。 ミズアオイの花には2型があって、一つは図4のように、青い雄しべが、向かって右にあり、もう一つは図5のように、青い雄しべが、向かって左にあります。〔花の顔. 田中肇ほか. 山と渓谷社〕によると、「黄色の雄しべから花粉を集めるため、ハチは必ず青い雄しべと雌しべを足場にする。青い雄しべが右寄りの花なら、このときハチの体の右側に花粉がつくが、そのハチが青い雄しべが左寄りの花にいけば運んできた花粉が右の雌しべに渡される。花粉を違うタイプの花に渡すための仕組み」(原文のまま)だそうです(他花受粉)。素晴らしい工夫ですが、もしそれが事実として、なぜ体の右側に花粉が着くのでしょう。そこが理解できません。(?) この解説には、決定的な矛盾があります。「ハチは必ず青い雄しべと雌しべを足場にする」と言うくだりです。青い雄しべと雌しべの両者を必ず足場にするのだったら、青い雄しべが右にあろうと左にあろうとハチの体勢には関係がなさそうだからです。 私の考えでは、図6のヒラタアブ(?)の例のように、青い雄しべは大きくてつかまりやすいので、おそらく大部分の体重を青い雄しべに掛けるのではないでしょうか。そうすると、右に青い雄しべのある花へ来たときには、花粉を提供してくれる黄色の葯は体の左側に多くあることになり、そこで花粉をあさるときには、体を左へひねらなければなりません(反時計回りに)。そうすると必然的に体の右に花粉が付きやすくなるというものです。 ところで、小型のヒラタアブ(?)のような昆虫の場合には、青い雄しべは大型なので、つかまるのには便利らしく、観察していると多くの場合、最初に青い雄しべにつかまって(雄しべと雌しべの両者につかまることはなく)花粉をあさっていました。(図6)。図10〜13にいろんなスタイルを挙げてみました。雌しべにつかまった例は一つもありませんでした。 もっと大型のミツバチなどではどうなのかは、観察例を積み上げねばならないと考えています。 なお、同じ花序の中で多数花が開花している場合、青い雄しべが右にある花や左にある花が入り交じっていることもあります(図3)ので、あくまでも花に2型があるということであって、株として2種類あるということではありません。 いずれにしても、生物の世界は不思議が一杯です。 なお、花の構造の詳しいことはカネゴン先生の植物教室〔ここ〕を見て下さい。 |
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ミズアオイの古名は「水葱(ナギ)」と呼ばれ、夏の野菜として食料となっていたそうです。野菜・昔ばなしに面白い話が載っています。ぜひ(ここを)を訪ねてみて下さい。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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