FILE36 ススキとオギ

図1 オギの群落(手取川河川敷) 

 ススキとオギは、似て非なる物です。しかし、一般には、オギをススキだと思いこんでいる人が結構多いと思います。ここでは、学術的な面も含めて両者を比較してみます。
 上の図1に見える白い穂はすべてオギです。

 ススキは山野や路傍の至る所に生え、オギは主として河岸のような湿地に生えます。 

図2 ススキの生え方 図3 オギの生え方

図4 ススキの株
根元から出た茎が雪で倒され、放射状に寝ているのがススキの特徴(4月)

 ススキは根茎が短いので、根元から多数の茎が伸びますが、、オギは横に伸びた根茎から1本ずつ、ほぼ平行して立つことが多いので、普通は遠くからでも外観で区別がつきます。

図5 ススキとオギの同居


           左:ススキ


           右:オギ

 オギは滅多に乾燥地には生えませんが、ススキは、オギの生えるような所にも生えますので、両者が同じ場所にあって、2種類の穂が仲良く並んでいることも多くあります。
 小穂の基部にある毛が、オギの方が白いので、両者の穂を同じ光線の下で比べると、オギの方が明らかに白く見えます。

図6 ススキの穂  図7 オギの穂 

 オギの穂の方が、ススキの穂よりも大きくてふっくらとしていることが多いようです(ふっくらの状態は、種子の熟しかたや湿度によっても変わります)。
 また、手の中に穂を包み込みますと、オギは猫の毛を撫でているように柔らかい感じですが、ススキでは、少しゴツゴツした感じがします。

図8 ススキの小穂(毛が短く、ノギがある) 図9 オギの小穂(毛が長く、ススキより白く、ノギがない)

 それぞれの穂は、小穂と呼ばれる最小単位で構成されていますが、ススキでは小穂の基部に小穂とほぼ同じ長さの白毛が付いており、小穂の先端には刺のようなノギが付いています。
オギでは、小穂の基部の毛は、小穂の2〜3倍もの長さになり、ノギはありません。
 
 小春日和の一日、あれはススキだ、これはオギだと、当てっこをするのも風流かも。


花模様