FILE69  ハマウツボ
     
Orobanche coerulescens Steph. ex Willd.
図1
 1年生の寄生植物。石川県内の数カ所の海岸砂地でカワラヨモギに寄生しています。稀には内陸部の川原にも見られます。
この海岸はゴミの漂着が多く、清掃が全くなされていないので、荒れ果てており、
最初に見た平成元年に比べて個体数は激減しています。ハマウツボは、このゴミの隙間を縫って生えています。
石川県のレッドデータブックでは、絶滅危惧U類にランクされました。
平成13年5月28日 富来町で撮影
 
     
図2
海岸の荒れかたは、目を覆うばかりです。滅多に人の来ない海岸ですが、潮流の関係でゴミの漂着が著しいのです。プラスチックゴミ・ガラス瓶から漁具まで、近所に人家もなく何ら活用されていない海岸ということもあって、貯まりっぱなしです。

平成13年5月28日 富来町で撮影

図3
失礼して根を掘ってみました。
中央部の左上から右下へ伸びている色の薄い部分(淡褐色)がハマウツボの若い花穂。画面の下の方を横に這うカワラヨモギの根にしっかりと絡まっています。同じハマウツボ科のナンバンギセルと似た感じがします。中央部の上の方に縦に伸びた3本の黒いものが見えますが、昨年の花穂の残骸です。

図4
花冠は上下に分かれ、上唇は先端が凹み、下唇は3裂しています。上唇の下の白い柱頭は、先端が膨らんで横に広がり、中央部が凹んでいます。
図5
若い花序。全体に白毛で覆われていますが、毛は少ない場合もあります。




  和名の由来は、浜に生えるウツボグサに似た植物、ということですが。ウツボグサの由来は、花穂(花序)の形がうつぼ(靫)という「矢を入れて背中に背負う武具」に似ているからと説明されています。竹網代(たけあじろ)といって、竹を編んで作った筒型の細長い籠のようなもので、野草のおぼえ方(上)いがりまさし著小学館に写真が出ていますので参考に見て下さい。


花模様