|
FILE74 リュウノウギク Dendranthema japonicum (Makino) Kitam. |
|
図1 岩場に群がって咲く。 |
|
|
図2 岩盤から垂れ下がって咲いている。3中裂した葉にも注目。 |
|
|
図3 頭花 |
|
|
|
図4 舌状花 |
図5 筒状花 |
|
|
|
|
図6 総苞。外片は線形。内片は縁に褐色の膜を持つ。 |
図7 葉 |
|
|
|
|
図8 葉 |
図9 葉 |
|
|
|
|
図10 葉上の毛。図は葉の裏面。
|
図11 葉の表面の毛の拡大。100倍で観察。
(図の倍率が100倍ということではありません) |
|
|
|
|
図12 葉の裏面にある透明な小体。 |
図13 透明な小体の拡大。眼がね型の構造。おそらく竜脳の香り物質を分泌する腺だと考えられる。 |
|
|
|
リュウノウギクは日本固有の種で、本州(福島県・新潟県以西から山口県東部まで)・四国・九州(宮崎県)に分布します。石川県では、白山麓の岩壁や岩上に見られます。産地が限られているので、石川県版のレッドデータブックでは、準絶滅危惧としてランクされています。
大学時代の、植物解剖学のテキストにリュウノウギクのスケッチが載っていて、一度見たいと思っていましたが、生育地がかなりの山奥のため、自家用車などの足が確保できなかった時期にはなかなかお目にかかれませんでした。
直径3cmほどの大形の頭花を付けます。総苞の外片は、線形です。総苞の内片の縁には乾いた膜がついています。葉の形は、図7のように3中裂したあっさりとしたものが多いのですが、図9のようにそれぞれの裂片に大きな鋸歯があって複雑な形をしている場合もあり、また、図8のように両者の中間で3裂しているかどうかがはっきりしないものまで多様です。しかし、いずれも基部がくさび状で短い葉柄に移行しています。
リュウノウギクは竜脳菊の意味で、竜脳とは、フタバガキ科のリュウノウジュの樹脂からとる香料のことで、その香りに似ていることから付いた名前です。リュウノウギクには竜脳の主成分の他に樟脳も含まれていて、量的には樟脳の方が多いとのことです(植物の世界 朝日新聞社 による)。香りを正確にお届けできないのが残念ですが、葉をもむとすっきりとした樟脳のようなとても気持ちの良い香りがします。
葉の両面に白毛がびっしりと生えていて(裏に多い)、絨毯のような手触りです。実体顕微鏡で見たところ、図10のようでしたがよく分からないので普通の顕微鏡で100倍に拡大してみたところ、竹とんぼのようなT字形の毛が生えていることが分かりました。毛の表面からピントをずらせて葉の表皮を見ると、小さく透明な粒々が沢山ありました。100倍に拡大してみたところ、眼がね型の構造であることが分かりました。おそらく竜脳の香り物質を分泌する腺だと考えられます。
|
|
|
|
|